「時刻表を読むのが好き」という純粋な気持ちから始まった趣味が、本物のミュージアム開設にまで発展した人物がいる。東京・中野在住の鈴木哲也さんは、中学入学時から毎月欠かさず時刻表を購入し続け、その数は現在925冊以上に達している。
2022年に自宅を改装してオープンした時刻表ミュージアムは、完全予約制・完全貸切という独自のスタイルで多くの鉄道ファンを魅了し、開館から2年で500人近い来館者を記録した。本記事では、鈴木哲也さんの経歴と時刻表ミュージアムの魅力を徹底解説する。
鈴木哲也とは?時刻表マニアになったきっかけと経歴

鈴木哲也さんは東京都中野区で生まれ育ち、幼少期から中央線の列車を身近に感じてきた。時刻表との出会いは小学1年生のころ、父親が読んでいた小冊子に興味を持ったことがきっかけだった。父から「これが時刻表だよ」と読み方を教わり、電車の旅を自分で計画できる面白さに夢中になっていった。
小学校の高学年になる頃には、長期休暇を利用して一人旅を楽しむようになった。4年生のときには一人で夜行列車に乗り、暗い車内で恐怖と興奮を同時に感じたというエピソードも残っている。時刻表は「旅の設計図」であり、ページをめくるだけで空想の旅ができる魔法の本として、少年の心をとらえていた。
中学入学を機に毎月購入を開始
中学に入学した1980年4月、鈴木さんは毎月500円のお小遣いで時刻表を購入し始めた。当初はコレクションという意識はなく、「愛着がありすぎて捨てられない」という理由で手元に残し続けたのだという。
高校時代は正則高校の鉄道研究部に3年間在籍し、2年生のときには部長も務めた。合宿と称して未踏破路線に乗ったり、消えゆく旧型客車を追いかけたりと、鉄道への情熱はますます深まっていった。
大学・社会人時代も毎月欠かさず購入
日本福祉大学社会福祉学部を卒業後、旅行会社・専門学校講師・医療関係など多岐にわたる職業を経験した。職場が変わっても、生活環境が変わっても、時刻表だけは毎月欠かさず購入し続けた。その積み重ねが、数十年後に本物のミュージアムを生み出すことになる。
展示会開催からミュージアム設立へ

時刻表愛読から30年が経過した2010年、鈴木さんは「これまで集めた時刻表を全部並べてみたい」という強い思いから、中野サンプラザで展示会を開催した。当時の所有冊数は360冊にのぼり、新聞各社が取り上げるほどの話題となった。NHK「クローズアップ現代」でも紹介され、反響は鈴木さん自身の想像をはるかに超えるものだった。
翌2011年には、ウェブサイト「哲×鉄」を開設。展示会以前のバックナンバーも並行して収集しながら順次公開すると、サイト閲覧者から「昔乗った列車の時刻を調べてほしい」という問い合わせが相次ぐようになった。
見ず知らずの方々が各人生の節目に、どんな思いでこの列車に乗ったのだろう…と想像することが楽しくなりました。
鈴木哲也さん(時刻表ミュージアム公式サイトより)
時刻表は単なるデータではなく、人々の人生の記憶と結びついた「タイムカプセル」だと気づいた鈴木さんは、いつしかミュージアム設立を夢見るようになった。
2021年竣工・2022年4月29日オープン
月刊誌「Lightning」の取材で「時刻表のプライベート・ミュージアムをつくりたい」と語ったのが2020年9月。その言葉通り、2021年7月にミュージアムが竣工し、2022年4月29日(昭和の日)に時刻表ミュージアムとして正式オープンした。場所は鈴木さんの自宅を改装した東京都中野区中野5丁目。JR・東京メトロ中野駅北口から徒歩約9分の場所にある。
時刻表ミュージアム施設完全ガイド

時刻表ミュージアムは完全予約制・完全貸切制という独自のスタイルを採用している。1枠45分、1組最大3名まで。入館料は1枠3,000円(当日現金払いのみ)。希望の時間帯からスタートできる柔軟な対応も特徴だ。
■ 完全貸切制(1組3名まで・要予約)
■ 入館料:1枠3,000円(当日現金払いのみ)
■ 所在地:東京都中野区中野5-23-11
■ アクセス:JR・東京メトロ中野駅北口より徒歩約9分
乗降口(エントランス)
入口では館長・鈴木さん本人が「車掌長」として迎えてくれる。カウンター脇には1970年代から90年代の旅行会社パンフレットがラックに並び、すでに懐かしい空気が漂い始める。入館券は昔懐かしい硬券形式で、行き先には「時間旅行」と記されている。
コリドー(廊下)
展示室へ向かう廊下は国鉄色(青20号)で染められ、寝台特急「富士」の方向幕や旧型客車の3段式寝台をイメージした展示棚が続く。棚の各段には東海道新幹線(0系)関連グッズ、ブルートレイン関連アイテム、車内オルゴールなどが並び、手回しで試聴体験も可能だ。
Westサイド(時刻表メインエリア)
壁面には国鉄特急カラー(クリーム4号・赤2号)が施され、JNRマークや各種車内表示板が展示されている。コレクションの核心部分として、1964年9月以前の古典時刻表から令和最新号まで925冊以上が並んでおり、多くは実際に手に取って閲覧できる。大正・昭和の時刻表をめくりながら当時の鉄道旅行に思いを馳せる体験は、ここでしか味わえない。
Northサイド(展望ボックスシート&書籍コーナー)
旧型客車の座席を再現した展望ボックスシートに腰をかけながら、鉄道雑誌や史料を自由に閲覧できる。窓の外には町並みが広がり、館内に流れる信越本線の走行音をBGMに、昭和の列車旅が頭の中によみがえってくるような空間だ。
Eastサイド(Nゲージジオラマ)
展示室の東側には、Nゲージ走行が可能なジオラマが設置されている。パワーパック(コントローラー)は5台あり、複数路線を同時に走らせることができる。車両は持参が必要だが、子どもから大人まで夢中になれる体験型エリアだ。
Southサイドほか
壁面には東海道新幹線「サボ」(行先・愛称板)の金属製プレートが展示されている。「超特急ひかり」「特急こだま」といった往年の名列車の姿が、金属の重みとともに感じられる。
1階カフェとのセット利用
1階には「FFO COFFEE」というカフェが入っており、観覧後に飲み物を注文すると30分の延長利用が可能になる特典がある。観覧の余韻に浸りながらゆっくり語り合えるのも、このミュージアムならではの魅力だ。
どんな人が来館しているのか

来館者の中でもっとも多いのは50代以上の男性が一人で訪れるケース。次いで、夫婦やカップルの場合はどちらかが鉄道好きというパターンが多い。鉄道好きの相手に内緒でサプライズ招待するケースもあるという微笑ましいエピソードも報告されている。
親世代は時刻表そのものに夢中になる一方、子ども世代にはNゲージジオラマが大人気。大人も子どもも楽しめる、鉄道ファン版「ディズニーランド」とも評されるゆえんだ。
開館から2年で500人近い来館者を記録し、6回以上リピートしている常連客も存在する。完全貸切のため予約が取りにくい日程もあり、早めの予約が推奨される。
まとめ

鈴木哲也さんの時刻表への情熱は、小学1年生のときから現在まで途切れることなく続いている。その純粋な「好き」という気持ちが、925冊以上のコレクションと本格的なミュージアムを生み出した。
時刻表ミュージアムは単なる展示施設ではなく、来館者が自分の記憶と向き合い、時間旅行を楽しめる特別な空間だ。鉄道好きはもちろん、昭和の鉄道文化に興味がある人なら、一度は訪れる価値がある場所といえる。
予約は時刻表ミュージアム公式サイトから。人気が高く希望日が埋まりやすいため、早めのチェックをおすすめする。
参照元・出典
💬 たかやんの一言
時刻表ミュージアムって初めて知りました!鉄道好きには聖地みたいな場所ですね。中野に行く機会があれば立ち寄ってみたいです。

